最大50万円の補助!エステ機器購入に使える補助金制度とは?【小規模事業者持続化補助金】

美容室やエステサロン、整体院など、小規模な事業者が日々の営業の中で直面する課題として「新規顧客の開拓」や「広告宣伝費の確保」が挙げられます。こうした悩みに対し、公的に支援してくれる制度が「小規模事業者持続化補助金(略称:持続化補助金)」です。

エステサロンの開業やエステ機器の導入にあたっては、補助金制度を活用できることをご存じない方も少なくありません。実は、美容系サロンのようなサービス業でも利用できる補助金制度があり、うまく活用すれば最大50万円(条件を満たせば最大200万円)の補助を受けられるケースもあります。

今回は「小規模事業者持続化補助金」をはじめ、美容業界で活用できる補助金・助成金制度の概要、具体的な活用事例、さらに「補助金」と「助成金」の違いについても、丁寧に解説していきます。

記事監修

記事監修
株式会社EXE 代表取締役 鷲田 七恵
国家資格を持ち医療業界に長年従事。退職後、美容に転じ猛勉強で各種資格を取得。エステ・美容室の現場改善や売上向上を支援するコンサルを開始。並行して補助金の専門性を磨き、信頼できる仲間と申請支援や機器導入セミナーを展開。現在は採択率96.4%を武器に、不採択者の再挑戦を支える「Dr.補助金」の立上げ・運営に注力。

小規模事業者持続化補助金とは?

制度の目的

「小規模事業者持続化補助金」は、商工会・商工会議所のサポートを受けながら、販路開拓や業務効率化などに取り組む小規模事業者に対して、経費の一部を補助してくれる制度です。中小企業庁が主導し、地域経済の活性化を目的としています。

対象となる事業者

小規模事業者の定義は業種によって異なりますが、美容室や整体院など「サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)」の場合は常時使用する従業員が5人以下の事業者が対象です。個人事業主も対象になる点が大きな魅力です。

小規模事業者持続化補助金のメリット

小規模事業者持続化補助金のメリット

1. 最大200万円まで補助される

通常の枠では最大50万円までの補助ですが、特定条件(インボイス対応、賃上げ実施など)を満たすことで、100万〜200万円まで拡大されるケースもあります。

エステ機器の導入費、販促ツール制作費、WEB集客用のHPや広告費など、幅広い用途で活用できるのが魅力です。

2. 販路拡大や業務効率化に幅広く使える

単なる設備導入だけでなく、以下のような取り組みも補助対象になります

  • ・チラシ・パンフレット制作
  • ・ホームページ制作/リニューアル
  • ・SNS広告の運用
  • ・新メニュー開発や機器導入
  • ・業務用システムや予約管理ツールの導入

つまり、「集客」「売上アップ」「業務効率化」など、サロン運営全体を支援してくれる制度といえます。

3. 個人事業主・法人どちらでも申請可能

法人だけでなく、フリーランスや個人サロン経営者も対象になります。「小規模事業者」という名称の通り、スタッフ5人以下(サービス業の場合)であれば申請資格があります。

4. 専門家のサポートが受けられる

商工会・商工会議所と連携して進めるため、申請書の作成を1人で抱え込む必要はありません。

「どう書けばいいかわからない」「事業計画がうまくまとまらない」という場合でも、専門アドバイザーに相談しながら準備を進められるので安心です。

5. 他の補助金・助成金との併用も可能な場合あり

制度によっては、他の助成金(業務改善助成金など)との併用も可能です。上手に活用すれば、機器の導入費や広告費を大きくカバーしながら、サロンの成長投資を進めることができます。

エステ機器導入に活用できる「補助金」の種類と補助内容

エステ機器導入に活用できる「補助金」の補助内容

エステ機器導入などに活用できる補助金として、下記のご利用をご検討ください。

  • (1)小規模事業者持続化補助金
  • (2)IT導入補助金
  • (3)ものづくり補助金
  • (4)事業再構築補助金

(1)小規模事業者持続化補助金

小規模事業者(個人・法人問わず)が対象で、チラシ作成・ホームページ制作・機器購入・店舗改装など、事業の販路拡大や集客のための取り組みに対して、最大200万円(補助率2/3)まで支援を受けることが可能です。

用途
・新しい業務用エステ機器の導入
・サロン内の施術環境を整えるための設備購入
・新メニュー導入のための機器/備品の整備
・ホームページやチラシなどの集客ツール作成
補助率
対象経費の2/3(※制度変更により異なる場合あり)
補助上限額
原則50万円(特定条件を満たせば最大200万円)
対象経費例
・ホームページ制作費
・チラシ/パンフレット印刷費
・看板設置費
・新メニュー導入のための設備導入費
・ECサイト構築費 など

(2)IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)

中小企業や小規模事業者が、業務効率や生産性向上のためにITツール(ソフトウェアやクラウドサービスなど)を導入する際に、国が費用の一部を補助してくれる制度です。

用途
・業務効率化/売上アップに繋がるITツール導入
・顧客管理/予約システム(CRM)
・POSレジ/キャッシュレス決済導入
・サロン専用アプリ/電子カルテ
・オンラインカウンセリング導入 など
補助率
【通常枠】対象経費の1/2(※制度変更により異なる場合あり)
補助上限額
原則5~450万円
対象経費例
・予約/顧客管理システム(CRM)
 例:HotPepper連携型予約システム、カルテ管理ソフト
・POSレジ/キャッシュレス決済システム
 例:Airレジ/Square など
・LINE公式アカウント連携管理ツール
・新メニュー導入のための設備導入費
・LINE公式アカウント連携管理ツール在庫管理/スタッフシフト管理ツール

(3)ものづくり補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)

中小企業や小規模事業者が、新しい設備や技術の導入・革新的なサービスを開発する取り組みに対して、国が費用の一部を補助してくれる制度です。

・業務用エステ機器の新規導入

例:最新機器、フェイシャル機器、RF、脱毛機などの高額機器

・新メニューの開発・導入

例:肌診断システムを活用したAIカウンセリングサービス

・技術革新を伴うサービス提供方法の刷新

例:セルフエステ機の予約・使用履歴管理を含めたスマホ連携型システム導入

補助率
【通常枠】対象経費の1/2、2/3(小規模事業者、補助率引上げ特例を活用中小企業)(※制度変更により異なる場合あり)
補助上限額
最大1,250万円(※最低補助額は100万円から)
対象経費例
・機械装置/システム構築費(CRM)
例:エステ機器(痩身/脱毛機など)
・施術システム連動型の管理装置/自動化機器
・サロン専用アプリや業務連携ソフトウェアの開発/構築費

(4)事業再構築補助金

事業再構築補助金は、ビジネスモデルの転換や新分野展開を支援する補助金です。エステサロン運営において、新しいサービスの導入や、事業モデルの変更などに活用できます。

用途
・セルフエステ店舗の新規展開
・AI肌診断やデジタルカウンセリングなどの新事業展開
・オンラインサロンや通信販売との複合サービスへの転換
補助率
中小企業:1/2(成長分野進出枠の場合※制度により変動)
補助上限額
100万円〜3,000万円(従業員規模・申請枠により変動)
対象経費例
・新店舗の設備費/内装改修費
・新サービス用エステ機器の購入費
・新規分野展開に伴う広告/PR費

エステ機器導入に活用できる「助成金」の種類と補助内容

エステ機器導入に活用できる「助成金」の補助内容

エステ機器導入などに活用できる助成金として、下記がご利用いただけます。

  • (1)業務改善助成金
  • (2)キャリアアップ助成金
  • (3)人材開発支援助成金

(1)業務改善助成金

従業員に対して専門スキルを習得させるためのOJTや外部研修の実施に対して、研修費・賃金補助が行われる制度です。施術機器の操作研修なども対象となり得るため、機器導入と人材育成をセットで支援可能です。拡大や集客のための取り組みに対して、最大250万円(補助率2/3)まで支援を受けることが可能です。

主な特徴
助成対象:美容機器(業務効率・品質向上につながるもの)、POSレジ、予約システムなど
助成額:最大600万円(賃上げ人数・額に応じて変動)
助成率:最大90%(事業場規模によって変動)
賃上げ後の事後申請可(簡易コース)あり
エステ活用例
・プラズマ美顔器、EMS痩身機などの業務効率・サービス品質向上に資する機器の購入
・時給950円 → 1,000円への引き上げ+施術時間短縮のための新機器導入
ポイント
・賃上げが条件だが、人材定着と施術効率UPを両立できる
・サロン単位でも申請実績あり

(2)キャリアアップ助成金(正社員化コース)

アルバイトやパートなどの非正規労働者を正社員に転換することで支給される助成金です。支給された資金を、スタッフの定着・スキル強化を目的に新機器導入費に充てることが可能です。

主な特徴
・正社員転換1人あたり57万円支給(中小企業)
・有期 → 無期、無期 → 正規のどちらも対象
・支給要件:就業規則の整備、転換実績、研修制度など
エステ活用例
・パートスタッフの正社員化 → 支給金で新人研修用の施術機器を購入
・新メニュー導入に向けた施術環境の拡充
ポイント
・スタッフ育成&定着率UP → サービス品質向上と経営安定につながる
・人を活かしながら、設備も整備できる実効性の高い助成金

(3)人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

従業員に対して専門スキルを習得させるためのOJTや外部研修の実施に対して、研修費・賃金補助が行われる制度です。施術機器の操作研修なども対象となり得るため、機器導入と人材育成をセットで支援可能です。

主な特徴
対象:中小企業によるスキルアップ研修(自社研修/外部研修)
助成内容:研修経費の45%+賃金支給(1人あたり最大760円/1時間)
対象人数:1人から申請可能
エステ活用例
新しく導入する美容機器の操作・活用研修(メーカー講習含む)
・スタッフのメニュー提案力・接客スキル強化に向けた座学と実技研修
ポイント
機器の使いこなしまで視野に入れた導入が可能
・助成金を活用して「使える人材×使える設備」を両立

「補助金申請」のポイントと注意点

商工会または商工会議所のサポートが必要

補助金の申請をするには、商工会や商工会議所との連携が必須です。

申請書類を1人で作成するのは大変ですが、担当者に相談することで、内容の確認やアドバイス(例:事業計画の書き方、改善点)を受けられます。まずは早めに連絡して、相談予約を取りましょう。

応募のタイミングに注意!申請にはスケジュール管理が重要

補助金は年に数回だけ募集がある制度です。募集期間を逃すと、次回まで待たなくてはなりません。

事業の準備や計画にあわせて、「いつ申し込むか」を逆算してスケジュールを立てておくことが大切です。

採択されないケースもある

補助金は、申し込めば必ずもらえるわけではありません。

内容に対して審査が行われ、事業計画の内容が具体的か、実現性があるかなどがチェックされます。

「誰に、何を、どんな方法で提供するのか」などを明確にし、説得力のある計画書を作ることが採択のカギです。

「助成金申請」のポイントと注意点

助成金の「要件」を必ず確認する

助成金は条件(要件)を満たすことが絶対条件です。たとえば、以下のような条件を満たすことが必要です。

  • ・業務改善助成金なら → 賃金引き上げ
  • ・キャリアアップ助成金なら → 非正規から正社員への転換
  • ・人材開発支援助成金なら → 実施する研修内容・時間数の明確化

証拠資料を整える

助成金は審査性ではなく「書類審査」による形式的要件の確認が基本です。よって、以下のような書類整備が必要です。

  • ・就業規則(最新版)
  • ・賃金台帳・労働条件通知書
  • ・雇用契約書・研修実施記録
  • ・タイムカードや勤怠管理記録

申請時期・提出順序を厳守

助成金の多くは、「計画提出 → 実施 → 実績報告」の流れで構成されています。

  • ・計画前に機器を購入・研修を実施してしまうと対象外
  • ・必ず「事前申請 → 実施 → 事後報告」の順で進めること

「補助金」と「助成金」の違いとは?

比較表で制度の違いを確認

混同されやすい「補助金」と「助成金」ですが、両者は明確に異なる制度です。

 補助金助成金
目的主に事業の拡大・強化を支援主に雇用維持や労働環境改善
管轄経済産業省など厚生労働省など
審査の有無あり(競争あり)なし(条件を満たせば原則支給)
申請時期公募期間あり(締切あり)随時受付可能なケースが多い
活用場面設備導入、販促、新規事業などスタッフの正社員化・技術研修・業務効率化

補助金は事業の拡張や変革に向けた支援であり、将来の投資的な意味合いが強いのに対し、助成金は雇用や労働条件の維持・改善に対するサポートです。両方をうまく活用することで、経営の安定と成長を同時に図ることが可能になります。

目的に合わせて正しく選ぶことがサロン成功へのステップ

「小規模事業者持続化補助金」は、美容系サロンや個人事業主にとって、販路開拓や設備投資を後押しする強力な支援制度です。特に新しい集客手段を模索している方には心強い味方となります。

経営のフェーズや課題に応じて、「未来への投資(補助金)」と「働く環境づくり(助成金)」をうまく組み合わせることで、サロン運営の可能性をさらに広げることができます。

ぜひ活用してサロン運営をより良いものにしていきましょう!!

まとめ

少ない自己資金でも“攻めの経営”ができる補助金として、「小規模事業者持続化補助金」は、「限られた予算でいかにサロンの価値を高めるか」を考える経営者にとって、非常に有効な制度です。

事前準備は必要ですが、採択されれば数十万円〜100万円以上の費用を補助してもらえる可能性があるため、機器導入やメニュー開発を検討しているなら、まずは一度活用を検討してみてはいかがでしょうか。